2002/01/27 あっという間に1ヶ月・・

あっという間に1ヶ月・・
皆さんこんばんは。今日は27日。今日は「京都勉強会」の帰りの新幹線の中で書いています。とても楽しい勉強会でした。さっき、感想文をまとめて入力、これから質問票に答える仕事となります。


し つ も ん
さて、ご質問がきました。以下のようなものです。

 「精油成分の中には完全に構造が分かっていない成分も入っていると思います。たとえば、それは、標準品もない訳なので、分析も不可能。その微量成分の少しづつ構造の異なる成分の集合体が何らかの作用を現している可能性も否定できないと思います。

 ただし、これに関して調べる方法は臨床においてでしかあり得ないですね。分析可能な成分の分析のみで精油の効用を語れないところが難しいところです。(質問ではなくなってしまいました。)このあたりはどうお考えですか?

 また精油成分は分子量が小さく、血中にかなり早い段階で移行すると習ったのですが、それは誤りですか?」


というもの。
さ〜て、お立ち会い。

おっしゃるとおりのパラダイムは古くからのアロマテラピーの治効理論にあったのですね。これは「総体が癒す」というようなものだったのだと思います。つまり、分析機器機の世界を越えた何か?がその効用を及ぼしている・・・のでは?というようなものです。勉強会の最中に話しましたが、「精油の効用は二重盲検の非常に難しい検証材料であること」それにより、パーソナルな効用として、一例報告に向いているということ。
 まずはケミカルの現状をお話ししましょう。ガスクロ、マススペクトル分析に関しては、実は現在は日本が最先端を行っている様子・・・。そのため、研究所のデータはそれこそ最高機密扱い・・・となっているようです。今の分析能力で分析できないものは少なくなっている時代となっている・・・
 今の研究の方向性は「単離し、薬理効果を検証、単離し、毒性を検証」というシステムになっている・・。その点からいうと、まさに「臨床例の蓄積」が問題となる。でも、そのためには臨床例のデータの信憑性が重要であることとなります。それは精油の効用ではなく、臨床例自体の病態把握ということになりますね?症例が軽快に向かう病態なのか?悪化に向かう病態なのか?その他様々な病理学的、統計学的情報がそろっていなければならない・・。ボクがいおうとしていたのは、「それらの遙か彼方にある、再現性は考え得ないような臨床例の存在」です。ですから、「分析可能な成分の検証のみで語れない・・」その通りと思います。しかし、避けるわけにもいかない・・というところですね。今は精油(アロマテラピー領域の)の効用等があまりにも「万能というようなとらわれ方をされる可能性」を秘めているから、利用者が勘違いしたり、自らの疾患への治療に医学的見地で処方されているお薬をやめて、アロマテラピーに頼ったり、また、セラピストが鵜呑みにしてクライアントに誤って勧めてしまったりする事のほうが心配・・。というところでしょうか?
 
さて、「精油成分は分子量が小さく、血中にかなり早い段階で移行すると習ったのですが、それは誤りですか?」というご質問です。こいつは簡単。
 分子量は小さいです。事実。血中に早い段階で移行する・・・・これも事実。しかし、そうやって摂取するか?が問題。これはとても大切な問題・・・。たとえば狭心症に「ニトログリセリン」を利用しますね?

ニ ト ロ グ リ セ リ ン C3H5(ONO2)3

 常温では無色澄明の粘稠性液体で,甘味,灼熱感があり,衝撃により爆発するが,水溶液中では爆発のおそれはない.
 体内で亜硝酸エステルに還元される.臨床的に亜硝酸アミルと同様狭心症*発作時に使用し,冠血管拡張作用により症状を改善する.内服では肝臓で分解されるので舌下錠として用いられ,予防的には軟膏の形で皮膚に塗布して使用される.また手術時の低血圧維持および異常高血圧の救急処置として点滴静注で使用される.〔承認投与量の上限〕(舌下)0.6mg.

これはニトログリセリンのデータです。ニトログリセリンは、強力に心臓の冠状動脈を拡張します。これはとても早い反応です。これはどの様に投与されるか?舌下ですね。舌下では急性期の狭心症に利用される・・・ニトログリセリンはどうやらすごいスピードで吸収されるらしい・・・。精油成分も同様だと思います。しかし、投与の方法が問題。経皮的(上皮細胞)への投与と舌下ではちょっと吸収の時間が異なるのではないかと思います。ご質問は「経皮的に」を意図しているものなのか?という問題もありますが、分子量からいえば吸収は早いことは考えられそう。問題はルートになるのかな?と。
 例えば?吸気吸入のことを想像しましょう。吸気では空気と一緒に肺胞の上皮細胞へたどり着くことになりそうです。この際は上皮細胞自体の膜上に血流が存在。つまり、「細胞膜一枚」が体内(血流)への移行への障害となる。これは簡単に「単純拡散」で移行することとなるでしょう。一酸化炭素中毒に似ている・・・・。でもね?マッサージではどう?「死んだ細胞である角質が重層に重なっている環境、表層を被う皮脂腺由来の脂質、及びその間隙を埋める細胞間脂質」というバリアによって外界からの侵襲を僕らは防いでいる・・・。キャリアオイルの役割は精油と親和性が高いことから精油成分を混ぜてそこに塗布すること=精油成分が皮脂に到達しやすくなる、ということでしょう。その後、濃度勾配があるから浸透圧が生まれ、浸透が起こる・・・こういうことではないかな?しかし、経皮と吸入、内服、経直腸で考えるとどれが吸収は早いのか?という難しさも存在します。吸入は早いかなと思います。しかし、排泄も早いかな?未変化体排泄は呼気が一番多い訳ですから・・・。経皮なら「密閉包帯法(ODT)」なら吸収速度を速める方法として有効であるわけですからそれも一理ある・・・しかし、それらの検証がないのですよ。
いや、ボクが見つけられていないからかもしれない。それと、吸収と効力は比例するとは言い切れない、という問題もあります。成分そのものが効用を発揮する物質もあれば、生体内で代謝されて何らかの効用を発揮したり、それが問題になるようなことが発生したり、蓄積の問題などそれぞれ非常に多くの見方があるのではないかと思います。
 一酸化炭素中毒では血液の中の赤血球中のヘモグロビンへの親和性が高いことから(言葉が違うかもしれない・・ヘモグロビンと酸素、ヘモグロビンと一酸化炭素の結合力は300倍といわれている)これは離れない・・それで窒息死するわけですね。精油成分でも代謝の研究は一部なされているようですから(ほとんど動物実験:これからどんどん研究されるものではないのかも・・)、それをひっくり返す作業を行っているのですね。時間がまだまだかかるかもと思います。
 京都では新たな熱心な方々にお会いでき、また、通信講座の座学部分も出来ました。とても時間が足りないが、これからもどうぞよろしくお願いします。
 東京も2月からの勉強会は「日曜開催!!」です。ご参加お待ちしております。

ではね〜。


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